マジックには名前と扱いが一致しないカードがいくつかある。この《祀られる記憶》も、残念ながらそうしたカードの1つで、多くのプレイヤーはこのカードの存在を記憶していない。英名の「Enshrined」には「祀られるの」ほかに「正式に記録される」といった意味もある。
Enshrined Hall of Fameで殿堂入りするという意味になったりする。人々の記憶に残り、崇め奉られるものを指すということだが...おそらくこのカードのことは当時プレイしていた人間でも大多数は覚えていない。カードとしては、書いてあることは悪くない。
ライブラリーの上からX枚見てクリーチャーカードを全て手札に加える。緑に定期的に現れるクリーチャー限定でアドバンテージをがっつり稼がせてくれるタイプのXマナソーサリーで、まあこうしたカードはよっぽど強くない限りは構築シーンで活躍することはない。《祀られる記憶》は書いてあることは派手なのだが、実際の期待値はそんなに高いものではない。
Xマナを払うためにはデッキ内のある程度の土地を採用しているだろうし、このカード自身やそのほかのソーサリーなど、クリーチャー以外のものがデッキに混ざってくるのが自然で、となるとX枚見て対価に見合う数のクリーチャーが捲れてくれるとはちょっと思えない。というか、3マナでこのカードのX=5に相当する効果が得られる《暴走する船頭》が強すぎるんだよなぁ。
ここまでネガティブに書いてきたが、個人的にはカードとして結構好きなデザインである。なんだかんだマナを払えばクリーチャーが複数手に入るため弱すぎることもなく、かと言って決してぶっ壊れにもならない。程よいカードデザインだと思う。地元の友人と遊ぶ用に個人でキューブドラフトのプールを作成していた時にも、緑の手札獲得手段にこのカードをチョイスしていた。
構築戦と違ってカジュアルなゲームであれば、強すぎるカードばかりで遊んでもしょうがないもんね。デッキの値段に縛りを設定した統率者戦なんかでも激安でアドバンテージを得る手段の1つとして採用出来るかも。こういうカードをしっかりと記憶しておくと、マジックの楽しみは絶対に拡がる。
神河の各種族や神達が社に吸い込まれているような飛び出しているような、よくわからないイラストも味があって良い。フレイバーテキストでは《落葉の道三》がもっともらしいことを語っているのだが、《祀られた記憶》というカード名と今1つ噛み合っていないような気もする。ただ、そんなところもあって妙に記憶に残るカードなんだよなぁ。何故か我が家のモダンで使う緑のカード入れストレージに常駐しており、使うことなんかほぼないのに出ていく気配がない。こういうわけのわからんことをしているから、いつも肝心なカードがストレージに入ってなくて見つからないんですわ。
今週は「記憶ウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/04/11《痛ましい記憶/Painful Memories》&《苦悶の記憶/Agonizing Memories》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/10《暗記+記憶/Commit+Memory》
岩SHOW Card of the Day 2018/04/09《倒れし者の記憶/Remember the Fallen》