生きているのに食べ物が要らず、立ちのぼるのに脚がなく、風も吹かずに揺らめきながら、殺すより鎮める方が難しい。わたしは何だ?__これはドミナリアのジャムーラ大陸にある宗教国家・フェメレフの謎かけの1つである。よく出来た問題だ。答えは火、炎。動くさまが活きているように見えたりすることをうまく表現している。窯や炭を扱う職人もよく「火は生き物」って言うもんな。フェメレフ人の詩的センスとユーモアが溢れたこの一節がフレイバーテキストに書かれているのが、今日の1枚である《焦熱の障壁》。
まず、イラストのインパクトがスゴい。これは一体、何なのだろう。いやまあ《焦熱の障壁》なんだろうけど、そのカード名からはおよそ想像もつかない、巨大な歯と歯茎が大きく目を引く。その奥には溶岩が溢れ、エイリアンのような長い後頭部のヒューマノイドが今まさに溶けて死んでいく様?いやまあよくわからんのだがそうとしか見えないシーンが描かれている。これは一体、何なのだろう(2回目)。キング・クリムゾンの有名な「クリムゾン・キングの宮殿」のアルバムジャケットを想起させる。炎の怪物の口?それともこういうデザインのトラップ?謎は深まるばかりである。
カードとしては特にこれと言った特徴もない、3マナ5/2の壁である。壁ということで防衛を持っており、攻撃には参加できないので立たせて相手のクリーチャーを食い止めるのが仕事。タフネスは低いがパワーは高いので、大物の前に立たせて睨みを利かせたい。後にこれと同じ3マナパワー5の防衛持ちで、タフネスも3あり能力も複数追加された《怒りの雨雲》なるカードが登場している。まあ、年々クリーチャーは強くなってるし壁もそれだけ強くなったってことだよなと。
パンチのあるイラストと、テキスト欄にはフレーバーしか書かれていないことで、昔このカードを始めて手に入れた際には普通に壁ではないクリーチャーだと思っていた。当時は防衛という能力でなく、壁というタイプがクリーチャーの攻撃を制限していたので本当にフレイバーテキストしか書かれていないのだ。攻撃できるのであれば、同じマナコストの他の赤いクリーチャーと比べてもそう悪いものではない。なので、《ボール・ライトニング》を4枚持っていない頃にはこれを代用品として赤いデッキに入れて仲間内で遊んでいた。イケてるなぁこの歯茎とか思いつつカードをしげしげと見たら、タイプ欄にWallと書かれていることに気付いた時の衝撃ったらね(笑)。もう今後、こういう意味不明なビジュアルのカードが出てこないと思うと何とも残念だ。
今週は「灼熱ウィーク」
岩SHOW Card of the Day 2018/07/19《炎族の村/Flamekin Village》
岩SHOW Card of the Day 2018/07/18《熱帯の暴風雨/Tropical Storm》
岩SHOW Card of the Day 2018/07/17《要塞の灼熱洞/Stronghold Furnace》