世界の頂点を決める__そのための戦いが、マジックの世界では年に1回開催されている。その名もストレートに世界選手権、World Championshipだ。この世界選手権、つい先日2017~2018シーズンの世界王者を決めるために24名のプレイヤーが出場権を持っていたが、その昔は全く異なる形式で開催されていた。
参加者は300名を超え、リミテッドと構築の複合フォーマットで予選が行われていた...さながらプロツアーの1つといった感じだ。世界最強の証である世界王者の称号も、その頂に至るまでの背景はその年その年で異なるというわけ。
マジックの背景世界での最強・頂点に君臨する存在は何か?圧倒的多数がこう答えるだろう、ニコル・ボーラス!と。ボーラスはプレインズウォーカーであり、数万年生き続けるドラゴンだ。ただでさえ強いドラゴンが、深い知識と強力無比な魔術、変身能力や次元渡りといった特殊技能を身に着けている。
アラーラから力を得て、永遠衆という軍勢も手に入れた。多元宇宙で最も恐ろしい存在の1つであることは間違いない。ただ、現在のボーラスも最強最悪だが、背景世界における大イベント"大修復"以前のボーラスは今よりももっと強かった。
プレインズウォーカーの性質が変わる以前、不老不死で色の垣根なくありとあらゆるマナから力を得て呪文を唱えていた頃のボーラスは、まさしく神そのものであったことだろう。そんな彼の、絶頂期を再現したカードが《力の頂点》だ。
まずとてつもなく重い。赤赤赤のトリプルシンボルを要求する10マナ呪文!10マナ支払うということは、マジックにおいてはかなり無茶をしなければならない。それ専用に構築必要がある。そこまでして唱えた呪文が弱ければ悲しいが、その点はご安心を。
まず、10マナ払えば好きな色1色のマナ10マナが返ってくる。皆大好き、実質無料というやつ。このマナを使って、ライブラリーの上から7枚のカードの中から好きなだけ呪文を唱えることが出来る。そうそうない幸運にも恵まれてこのカードが最大限の力を発揮すれば、0マナ7枚ドローとして機能するわけ。いやいや、まあこんなのはまず無理だが...呪文を4つも唱えられれば、十分に元は取ったと言えるのではないだろうか。
追放したカードをそのターンの間だけ唱えられるという形でのアドバンテージ獲得で、このカードのような能力・効果を持ったカードは近年の赤にはよく見られる。これらは衝動的ドローと呼ばれる。いつかこのどうでもいい知識をどこかで披露してみてくれ。
得られるマナは1色のみなので、出来れば赤単のデッキで使いたいところ。赤にはマナ加速カードや《野火の永遠衆》のようなソーサリーのコストを踏み倒すカードが色々とあるので、これを唱えることが出来るデッキを組むのは不可能じゃない。ただ問題は、とにかくデッキを組むのが難しい、その一点に尽きる。
そりゃマナ加速をありったけ仕込めば10マナくらい何とかならなくもないが、あまりそれらのカードを入れすぎると7枚捲ってもゲームに勝つカードが捲れないという、わけのわからない事態になる。ストーム呪文《ぶどう弾》などと組み合わせてうまいことやりたいが、正直なところこのカードを活かせる相方はまだ見つかっていない。
レベルの違いすぎる者は孤独である、そんなフレイバーも表現されているね。今週はそんな頂点に立つ者たちを紹介していこう。頂ウィークだ!